母の末期がん「肺腺癌ステージ4B」【絶望からメンタルケアで心が回復した方法】

こんにちは、なおです。
約2年前、母が肺腺癌(はいせんがん)ステージ4Bと診断されました。
抗がん剤治療、体力の低下、見た目の変化、そして心のモヤモヤ。
2025年、母の病状が「骨に転移し、余命半年」と宣告されたとき、絶望感が押し寄せました。
しかし、母のストレスやモヤモヤを言語化し、具体的な行動を取ることで、母の心は少しずつ晴れていきました。
この記事では、母が末期がんという現実を受け入れ、メンタルケアを通じて前向きになれた過程を息子の視点からお伝えします。

同じ状況にある方や大切な人を支える方のヒントになれば幸いです。
母の肺腺癌との闘い「2年間の変化」
2年前、母が肺腺癌と診断された日から生活は一変。
抗がん剤治療を始めた当初、体力は9割ほど落ち、買い物や家事といった日常の動作もつらそうでした。
抗がん剤治療と体力の低下
私はできる限りサポートし、買い物や小さな家事を手伝いました。
去年の夏、心臓の動悸が止まらず息ができなくなる症状で緊急入院したこともありました。
抗がん剤の副作用で髪が抜け、体力が落ちる中、母が特にストレスを感じていたのは「今までできていたことができない」こと。
階段の昇り降りや自転車での移動が難しくなり、数歩歩くだけで息が切れる。
脳では「できる」と思っていても、体がついてこない。この認識のズレが、母にとって大きなストレスでした。
見た目の変化と心の負担
2020年以降、病気の影響か、母の見た目は一気に「おばあちゃん」のようになりました。
腰が丸まり、体が痩せ細り、息子ながらその変化に胸が締め付けられました。
母自身も、鏡を見るたびに「こんな姿になるなんて」と落ち込むことが増えました。
この見た目の変化は、母の心に大きな負担を与えていました。
2025年:余命宣告と新たな試練
2025年、状況はさらに厳しくなりました。
新しい抗がん剤を始めたところ、足のしびれが副作用として現れ、母のストレスはピークに。
ある日、母の付き添いで病院に行った際、担当の西山先生から衝撃的な言葉を聞きました。
「骨にまで転移していて、すでに末期。もう治りません」

私が「余命はどれくらいですか?」と尋ねると、「半年です」と告げられました。
父には伝えましたが、母にはこの事実を伝えない選択をしました。
母が「ストレスはない」と言う一方で、「モヤモヤする」とこぼすことが増え、内心では大きな不安を抱えているのが伝わってきました。
同時期に父が緊急入院し、私も色々と考えさせられました。
» 参考:父の緊急入院で気づいたこと|下半身麻痺から見えた自己成長と行動の力
母のモヤモヤの原因
母が口にしていたモヤモヤの原因を整理すると、以下のようなものでした。
- 父の緊急入院:家族全体の負担が増えた
- 髪の毛の喪失:女性としての自信の喪失
- 担当医(西山先生)への不信感:冷たく感じる対応に違和感
- 体力低下による認識のズレ:できるはずのことができないストレス
- 「もう治らない」という現実:受け入れがたい事実
母は「受け入れなきゃいけないんだけど…」と口にしながら、モヤモヤを抑えきれませんでした。
私は「このモヤモヤを晴らす方法を見つけたい」と思いました。
言語化でモヤモヤを解消:私のアプローチ
私は普段から言語化やコミュニケーションの勉強をしてきました。
抽象的な言葉や誤解を生む表現を避け、相手の意図を具体的に捉える方法を学んできました。
例えば、母が「ぶどう食べたい」と言ったとき、以下のような認識のズレが生まれがちです。
- 小さな実のブドウ?
- 大きい巨峰?
- マスカット?
- グミやレーズン?
母が何を求めているのかを明確にするため「どんなブドウ?」「フルーツのブドウでいい?」と具体的に質問。
これを母のモヤモヤに応用しました。
担当医への不信感の解消
母は担当医の西山先生の「冷たい」対応にモヤモヤしていました。
父や母の相談員である菅長さんも同様に「先生の表現が淡々としている」と感じていました。
私は、病院という人の死が日常的な場所では、感情を抑えて淡々と対応することが医師のプロ意識かもしれないと仮説を立てました。
この考えを母に伝えると「確かにそうかもしれない」と少し納得した様子。
さらに、菅長さんのアドバイスで介護認定やセカンドオピニオンの検討を始めました。
母のモヤモヤの根本は、西山先生の意見だけに依存していることにもあるのではないかと考えたのです。
「他の医師の意見を聞くことで、別の視点が見えるかもしれない」と母に提案し、セカンドオピニオンに踏み切りました。
セカンドオピニオンで心の霧が晴れる
国立がん研究センターでセカンドオピニオンを受けました。
費用は44,000円と高額に感じましたが、母の晴れやかな表情を見ると、私には100万円の価値があると思えるほどコスパの良い選択でした。
このポジティブな考え方が、母のメンタルケアにもつながったと感じています。
事前に母に「何を聞きたい?」「モヤモヤの原因は?」と考えてもらい、以下の質問を準備。
- 今の抗がん剤は適切か?
- 他の治療法はないのか?
呼吸器内科の先生に1時間じっくり話を聞くと、西山先生の処置は適切で、他の方法を選んでも結果は同じだったとわかりました。
母が感じていた不信感は、実は先生の対応スタイルによるものだったと気づき、モヤモヤが晴れた瞬間、母の表情が明るくなりました。
帰路につく頃には、心のつかえが取れたようにスッキリした様子でした。
この経験から、言語化と深掘りがモヤモヤを解消する鍵だと実感。
自分の不安を具体的に質問に変え、専門家の意見を聞くことで、母の心は大きく軽くなりました。

介護認定とデイサービス:新たな気づき
セカンドオピニオンの後、菅長さんのアドバイスで介護認定を受け、母は介護認定2を取得。
デイサービスを利用し始めましたが、母は施設に対して新たなモヤモヤを抱えていました
- 「思ったより狭い」
- 「運動機器が少ない」
- 「とりあえずここでいいかな…」
母が「相手に迷惑をかけたくない」と妥協しようとする姿を見て、私は「それは違うんじゃないかな」と伝えました。
母が狭いと感じるのは、過去に広いデイサービスを見ていたため、無意識に基準が高くなっていたのです。
これは、収入が増えた後に生活水準を下げるのが難しいのと同じ心理です。
母と話し合い、以下の希望を明確にしました。
- 広い空間
- 美味しい食事
- 運動機器が多め(1~2でも可)
- 直感的に「ここだ!」と思える場所
自分の欲求を言語化することで、母は妥協せず自分に合ったデイサービスを選ぶ重要性に気づきました。
遠慮しすぎると小さなストレスが積み重なり、後悔につながることを学びました。
» 自分に合ったメンタルケア方法がわかる【メンタルケアサービス】
メンタルケアで母が回復した3つのポイント
母のメンタルケアで効果的だったのは、下記3つです。
- モヤモヤの言語化:漠然とした不安を具体的な質問や欲求に変換。
- セカンドオピニオンの活用:一人の意見に依存せず、別の視点を取り入れる。
- 自分の欲求を優先:遠慮せず、自分に合った選択を追求する。
これらのアプローチは、がん患者だけでなく、ストレスや悩みを抱える全ての人に役立つはずです。
母の笑顔が戻った瞬間、私も「言語化の力」の大きさを再認識しました。
まとめ:モヤモヤを晴らし、前向きに生きるために
母の肺腺癌との闘いは、身体だけでなく心の戦いでもありました。
モヤモヤを言語化し、セカンドオピニオンや介護認定を通じて具体的な行動を取ることで、母は心の負担を軽減し、前向きになれました。
息子として、母の笑顔を取り戻せたことが何よりの喜びです。
もしあなたや大切な人が似た状況にあるなら、まずは小さなモヤモヤを言葉にしてみてください。
言語化は自己理解の第一歩。
自分の心を整理することで、ストレスを減らし、人生を豊かにする選択が見えてきます。
私自身、言語化を深めるために断捨離をを実践し、自己理解を深めるヒントを得ました。
専門家の意見やサポートを積極的に取り入れ、妥協せず、自分の心に正直になることが大切です。
