同じ言葉なのに受け取り方が違うのはなぜ?会話のすれ違いが起きる5つの原因
「そんなつもりで言ったんじゃない」
「いや、どう考えてもそういう意味に聞こえる」

同じ会話をしていたはずなのに、話した側と聞いた側で、まったく違う内容として残ってしまうことがあります。
言葉の受け取り方が違うのは、どちらか一方だけが悪いからとは限りません。話す側の説明が足りないこともあれば、聞く側が自分の経験やそのときの感情を通して、別の意味に受け取ることもあります。
ただ、私は、すれ違いを減らすうえで最初にできることは、話す側が「相手にどう伝わるか」を考えることだと思っています。
自分の頭の中で分かっていることが、相手にも同じように見えているとは限らないからです。
この記事では、同じ言葉でも受け取り方が変わる原因と、「伝えたつもり」で終わらせないためにできることを、日常の例を交えて紹介します。
同じ言葉でも、頭の中に浮かぶものは違う
言葉は、話す側の頭の中にある考えや気持ちを、そのまま相手へ移せる道具ではありません。
たとえば、「大丈夫」という短い言葉だけでも、状況によって次のような意味が考えられます。
- 本当に問題がない
- 心配しなくていい
- 手伝わなくていい
- これ以上聞かないでほしい
- 本当はつらいけれど、今は話したくない
話した本人は「問題ない」という意味で使ったとしても、聞いた相手が「もう話しかけないでほしい」と受け取ることもあります。
これは、どちらかが言葉を知らないから起きるわけではありません。

たった一言だけでも、よくよく考えると色んな意味に聞こえるよね。
その、複数の可能性があることを絞っていくことが大事。
受け取り方の違いには双方が関係する。それでも話す側が重要な理由

言葉のすれ違いには、話す側と聞く側のお互いが関係します。
聞く側が、話の一部だけを切り取ってしまうこともあります。過去の嫌な経験や、そのときの怒り、不安などによって、普段より否定的に受け取ってしまうこともあるでしょう。
それでも、まず話す側にできることはあります。
次のように、話す人がAさんとCさん、聞く人が同じBさんだったとします。
| 会話 | 結果 |
|---|---|
| AさんからBさんへ伝える | 意図がうまく伝わらなかった |
| Cさんから同じBさんへ伝える | 意図をしっかり受け取ってもらえた |
聞き手はどちらもBさんです。それでも結果が違うなら、「Bさんは人の話を理解できない」と決めつける前に、AさんとCさんの伝え方の違いも考える必要があります。
たとえば、Aさんは次のようにアドバイスしました。
「〇〇をしたら、うまくいくよ」
一方、Cさんは次のように伝えました。
「〇〇をするときは、まず□□を確認して、そのうえで△△すると、うまくいきやすいよ」
Cさんの説明は、Aさんより少し長く見えます。
しかし、ただ言葉を増やしているわけではありません。「最初に何を確認するのか」「そのあと何をするのか」という順番を示し、Bさんが実際の場面を想像しやすいようにしています。
Aさんは、自分の頭の中では〇〇のやり方や注意点まで分かっていたのかもしれません。しかし、言葉にしたのは結論だけです。Bさんは、説明されなかった部分を自分で想像するしかありません。
一方、Cさんは、Bさんが分からない部分まで想像し、理解するための道筋を渡しています。
ここで大切なのは、長く話せば伝わるということではなく、相手が理解するために必要な材料を渡すことです。

逆に変な材料ばかり出していると、余計分かりにくくなるから。
必要なポイントを伝えていく感じだね。
同じ言葉なのに受け取り方が違う5つの原因
1.曖昧な言葉を、それぞれの基準で補っている
私たちは日常的に、次のような言葉を使っています。
- 早めに
- ちゃんと
- 普通に
- 少しだけ
- あとで
- できる範囲で

これ日常のあるあるなので、よーく意識してください。
「早めにお願い」と言われたとき、今日中だと思う人もいれば、2~3日以内でよいと考える人もいます。
「部屋をちゃんと片づけて」と言われても、床の物を動かせば終わりだと思う人と、ゴミを捨てて掃除機までかける人がいます。
曖昧な言葉が悪いわけではありません。ただし、大切な場面ほど、相手の想像に任せる部分が多いと認識のズレも起きやすくなります。
2.話す側だけが知っている前提を省略している
話す側は、自分が分かっていることを、相手も知っているように感じてしまうことがあります。
たとえば、仕事で「前と同じようにお願いします」と伝えたとします。
話した側は、作業の手順、完成の状態、期限まで思い浮かべています。しかし、聞いた側が前回の内容をすべて覚えているとは限りません。そもそも、お互いが「前回」と考えている仕事が違う可能性もあります。
自分にとっての当たり前は、相手にとっての当たり前とは限りません。

これを理解していない人が、結構多いよ。
3.過去の経験や大切にしていることが違う
「もっと頑張ったほうがいい」という言葉を、応援だと感じる人がいます。
一方で、すでに限界まで頑張ってきた人は、「今の努力では足りない」と否定されたように感じるかもしれません。
言葉は、その人がこれまでに体験してきたことを通して受け取られます。
話す側に悪意がなくても、相手が過去に似た言葉で傷ついた経験があれば、想像していなかった意味で届くことがあります。

だからこそ、どう受け取るかな?と可能性を広げて考えることが大切。
伝え方も、少しズラした言い方にするのも◎
4.そのときの感情や二人の関係が影響する
同じ言葉でも、安心しているときと、不安や怒りを感じているときでは聞こえ方が変わります。
また、信頼している人から言われる場合と、苦手な人から言われる場合でも、受け止め方は変わるでしょう。
「言った内容は同じだから、同じ意味で伝わるはず」とは限らないのです。

嫌いな人から言われたら、全部否定したくなる拒絶反応を起こすよね。そういう感じ。
5.表情や声の調子が伝わっていない
対面では冗談だと分かる言葉でも、LINEやメールでは冷たく見えることがあります。
特に、次のような部分は、書かれていない感情を相手が想像しやすいところです。
- 返信が短い
- 句読点や絵文字がない
- 返信まで時間が空いた
- 「了解」「大丈夫」だけで終わった
文章だけのやり取りでは、声の調子や表情がありません。足りない情報を、受け取った側が自分なりに補います。
「怒っているのかな」と不安に感じる人もいれば、「忙しいのだろう」と気にしない人もいるため、同じ文章でも違う意味として伝わります。
日常で起きやすい「そんなつもりではなかった」
家族との会話
「好きにすればいいよ」
話した側は、「あなたの判断を尊重する」という意味だったかもしれません。
ところが相手には、「もう興味がない」「勝手にすればいい」と突き放されたように聞こえることがあります。

これ聞き手によっては、洒落にならないくらい考え込んでしまう。
だから、どういう意図なのかも考えすぎに、複数色んなパターンを想像しておくと対応しやすい。
恋人との会話
「今日は一人でゆっくりしたい」
話した側は、単純に疲れていて休みたいだけかもしれません。
しかし、理由が共有されていないと、相手は「自分と会いたくないのではないか」と考えることがあります。

もしかしたら、久々に1人で楽しみたい有意義な時間を作りたいかもしれませんし、そこは聞かないことには分かりませんよね?
仕事での会話
「できたら確認しておいて」
話した側は、なるべく早く確認してほしいと思っている。
聞いた側は、時間が余ったら確認すればよいと考えている。
この場合は、「今日の17時までに確認して、気になる部分があれば教えてください」と伝えるだけでも、ズレを減らせます。

具体的な時間を入れて、補足があれば言ってね!という風に伝えるだけでも、受け手としては全然変わるよね。
会話のすれ違いを減らす5つの方法
1.最初からきれいにまとめようとせず、頭の中にあるものを出す
何かを伝えるとき、最初から短く、きれいに話そうとすると、大事な前提まで削ってしまうことがあります。
まずは、自分の頭の中にあることを出してみてください。
- 何があったのか
- 自分はどう感じたのか
- なぜそう考えたのか
- 相手に何を分かってほしいのか
- 最後にどうしてほしいのか
すべてをそのまま相手に話す必要はありません。先に自分の中から出しておけば、何を伝えて、何を削るかを選びやすくなります。

最初は下手でも構わないから、とりあえずドンドン出してみましょう!

恥ずかしいとか気にせず、練習だと思っていっぱい話そう。
2.「何を言うか」だけでなく「どう受け取られそうか」を考える
私たちには、「空気を読む」「察する」「要点を簡潔に話す」といったことを求められる場面があります。
簡潔に伝えること自体は大切です。しかし、短くすることを優先しすぎると、相手が理解するために必要な背景まで抜けてしまいます。
話す前に、次のように考えてみます。
- この言葉だけで、相手は状況を想像できるだろうか
- 別の意味にも受け取れないだろうか
- 相手が知らない前提を省いていないだろうか
- 自分が逆の立場なら、何を知りたいだろうか
最初から完璧にできなくても構いません。「どう言えば正しいか」ではなく、「どう伝わりそうか」から考えることが出発点です。

受け手が、どういう可能性として考えられるかな?と思った上で話してみましょう。
3.曖昧な言葉を、相手が動ける言葉に変える
重要な部分は、数字や行動に置き換えてみましょう。
| 曖昧な伝え方 | 具体的な伝え方 |
|---|---|
| 早めにお願いします | 明日の18時までにお願いします |
| ちゃんと確認して | 名前・金額・日付の3点を確認してください |
| 少し休みたい | 30分休んだら、こちらから連絡します |
| また今度行こう | 来週の土曜日か日曜日はどうですか |
すべてを細かく説明する必要はありません。認識がズレると困る部分だけを具体的にします。

数字や曜日、日付など伝えるだけで一気に変わりますよ。
4.伝わらなければ、例え話や別の場面に置き換える
一度説明して伝わらなかったとき、同じ言葉を繰り返すだけでは、相手も同じ受け取り方をする可能性があります。
そんなときは、例え話を使ってみてください。
たとえば、「もう少し余裕を持って進めたい」が伝わらなければ、次のように言い換えられます。
締め切り当日に全部確認する状態ではなく、前日までに一度見直せる状態にしたいんです。
具体的な場面が加わると、相手は話し手が頭の中で思い描いている状態に近づきやすくなります。

心配事を無くすための動きと考えてもらいたいからね。
5.相手がどう受け取ったかを確認する
伝えたあとは、相手の受け取り方を確認します。
ただし、「分かった?」と聞くだけでは、「分かった」と答えて終わるかもしれません。
次のように、お互いの認識を並べられる聞き方が向いています。
「私は〇〇という意味で話したけれど、どのように受け取りましたか?」
「私の理解では〇〇ということですが、合っていますか?」
「今の説明で、分かりにくかったところはありますか?」
確認することは、相手を試すことではありません。二人の頭の中に浮かんでいるものを近づけるための会話です。

私はこう意味で話しましたけど、あなたはどのように感じでいますか?とズレを無くすための言い方ですね。
言葉の引き出しは、日常の中でも増やせる
「具体的に伝えたほうがよいと分かっても、うまい言葉が出てこない」
そのように感じる人もいると思います。
言葉の引き出しは、本を読むことだけで増えるものではありません。
- 漫画の登場人物が、なぜその言い方をしたのか考える
- バラエティ番組で、伝わりやすかった例えを覚えておく
- 日常の会話で、分かりやすいと感じた表現をメモする
- 「なぜ今の一言で納得できたのだろう」と疑問を持つ
- 自分ならどう言い換えるかを考えてみる
普段なら聞き流してしまう言葉も、意識して見ると、自分が伝えるときに使える材料になります。
ただ視聴するのではなく、「なぜ伝わったのか」「なぜ面白かったのか」「どの言葉が分かりやすかったのか」と一度考えてみる。その積み重ねが、自分の中のストックになります。

バラエティとかでも神がかった回答や展開が面白いって言うのも、まさにこう言った言葉の展開があるんですよね。

このタイミングでこのワードを出すなんてセンスいいなぁ!と思うのも、実はその人の引き出しからのストックなんだよね。
すれ違いの責任を、一人だけで背負う必要はない
ここまで、話す側ができることを中心に紹介しました。
しかし、受け取り方の違いは双方の間で起きるものです。話す側がどれだけ工夫しても、一人だけですべてを解決できるわけではありません。
何度確認しても、相手が話を聞こうとしない。意味を確かめようとすると怒る。都合によって言葉の解釈を変える。
そのような場合は、単に伝え方が足りないのではなく、相手との関わり方や距離を考えたほうがよいこともあります。
「伝わらなかったのは、すべて自分の説明が悪かったからだ」と背負う必要はありません。
話す側が相手に伝わる可能性を高め、聞く側も決めつけずに確認する。どちらか一方ではなく、お互いが少しずつ歩み寄ることで、会話は成り立ちます。

一方で、相手を変えようとするようなことはしなくていいです。
自分がストレスになっては元も子もないので、まずは事実だけを受け取ってどうしようか決めていきましょう。
言葉の受け取り方に関するよくある質問
受け取り方が違うのは、どちらかが間違っているからですか?
必ずしも、どちらかが間違っているとは限りません。同じ言葉に違う意味を思い浮かべているだけの場合もあります。
ただし、「悪気はなかったから問題ない」と、相手が傷ついた事実まで無視してよいわけではありません。話した側の意図と、相手に与えた影響を分けて考えたうえで、お互いの認識を確認することが大切です。

例えば、こちらが「もし言い方が間違ってたらごめんね」とか確認のために伝えるだけでもイイよ。
特定の相手とだけ話が噛み合わないのはなぜですか?
二人が持っている前提や言葉の使い方、好む説明の順番などが大きく違う可能性があります。また、過去のやり取りから生まれた不信感によって、言葉を否定的に受け取りやすくなっていることも考えられます。
ほかの人には伝わるからといって、その相手だけに問題があるとは言い切れません。どこから認識が違っているのかを、一つずつ確認してみましょう。

物事を感情的に考えると、どうしても受け取り方が偏ってしまうので、まずは客観的になれるようにしてみましょう。
言葉の受け取り方の違いは、なくせますか?
完全になくすことは難しいでしょう。人によって経験や考え方が違う以上、言葉の受け取り方にも違いが生まれるからです。
一方で、期限や行動を具体的にする、必要な背景を加える、相手の理解を確認するといった方法で、大きなすれ違いに発展する可能性は減らせます。

いかに、認識ズレを防ぐかが重要なので、少しでもズレを防ぐためのヒントを出したり、考えを持っておくといいですよ。
LINEで誤解されたときは、どうすればいいですか?
文章を何度も重ねるほど誤解が大きくなりそうな場合は、電話や対面など、声の調子が伝わる方法に変えるのも一つです。
文章で説明する場合は、「怒っているわけではない」「責めたいのではなく、次回のために確認したい」など、文章だけでは見えにくい意図も短く添えると伝わりやすくなります。

会った時に、補足として文章はあんな感じだけど、実際はこう思っているから気にしないでね。と伝えるだけでも誤解が防げるよ。
「伝える」と「聞く」のすれ違いを無料講座で学ぶ
ここまで紹介してきたように、会話のすれ違いは、話し方だけが原因ではありません。
自分の中にある考えを整理して伝えること。そして、相手が何を伝えようとしているのかを受け取ること。その両方が必要です。
私が公開している無料のUdemy講座では、「伝える」と「聞く」の間で、なぜすれ違いが起きるのかを、難しい言葉をできるだけ使わずに解説しています。
「そんなつもりで言ったんじゃない」を少しでも減らしたい方や、自分の考えをどのように言葉にすればよいか迷う方は、無料で受講してみてください。
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お試しで聞くだけでも、かなりレベルアップしますよ。
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まとめ|「何を言うか」から「どう伝わるか」へ
同じ言葉でも受け取り方が違うのは、私たちがそれぞれ異なる経験、前提、感情を通して言葉を受け取っているからです。
すれ違いを完全になくすことは難しいかもしれません。
それでも、話す側が「自分は分かっているから、相手も分かるだろう」という前提を一度外すことで、伝わり方は変えられます。
最初から上手に話せなくても構いません。
まずは自分の頭の中にあることを出す。必要な背景を加える。それでも伝わらなければ、例え話や具体的な場面に置き換える。そして、相手がどう受け取ったかを確認する。
そうやって少しずつ練習することが、「伝えたつもり」と「分かったつもり」のすれ違いを減らすことにつながります。

